若手が辞めない安全活動とは

  1. TOP
  2. コラム一覧
  3. 社内向けリスク対策
  4. 若手が辞めない安全活動とは

安心して働ける現場へ

若手が辞めない安全活動とは

  • 30秒でわかる要点まとめ

    ・ポイント:安全活動は、事故を防ぐためだけでなく、若手が質問・報告しやすい職場文化をつくるための経営課題です。

    ・お読みいただきたい方:若手社員の定着、現場の雰囲気、報告不足、ヒヤリ・ハットの形骸化に課題を感じている建設会社の経営者

    ・リスクへの備え:全国安全週間を機に、KY活動、巡視、声かけ、ヒヤリ・ハット共有を「叱る材料」ではなく「事故を未然に防ぐ情報」として扱うルールに見直すことが重要です。

    ・この記事で分かること:安全活動を若手定着につなげる3つの見直しポイント

  • 安全はルールだけでは定着しない

    令和8年度の全国安全週間は、「多様な人材 全員参加 みんなで育てる安全職場」をスローガンに、7月1日から7日まで実施されます。6月1日から30日までは準備期間とされ、各事業場では安全文化を醸成するため、安全大会、安全パトロール、標語の掲示、講演会、緊急時訓練などに取り組むことが示されています。

    ここで重要なのは、安全活動を「ルールを守らせる行事」とだけ捉えないことです。建設現場では、朝礼、KY活動、作業前点検、巡視、声かけなどが日常的に行われています。しかし、若手から見ると、それが「怒られないための確認」になっている場合があります。

    安全活動が定着している会社では、危ない作業を止めること、分からないことを聞くこと、違和感を報告することが自然に認められています。反対に、質問すると嫌な顔をされる、報告すると責められる、ベテランのやり方に口を出せないという空気があると、若手は危険に気づいても黙るようになります。

    若手にとって、安全活動は単なる社内ルールではなく、「この会社で分からないことを聞いてよいか」「危ないと感じたときに止めてもよいか」を判断する材料になります。事故防止の出発点は、危険を見つけることです。そのためには、現場にいる人が「言ってよい」と感じられる雰囲気が欠かせません。安全活動は、書類や掲示物を整えるだけでなく、現場の会話の質を変える取り組みとして見直す必要があります。

  • KY活動とヒヤリ・ハットの目的

    KY活動やヒヤリ・ハット報告は、本来、誰かを責めるためのものではありません。作業前に危険を予測し、事故になる前の小さな違和感を拾い上げ、次の作業に反映するための仕組みです。

    令和8年度全国安全週間実施要綱でも、日常的な安全活動として、職場巡視、4S活動、KY活動、ヒヤリ・ハット事例の共有等の充実・活性化が示されています。つまり、安全週間だけで終わる活動ではなく、普段の現場運用に落とし込むことが前提です。

    建災防は、建災防方式「新ヒヤリハット報告」の中で、作業負荷、心身の状態、コミュニケーション、レジリエンス能力など、人が関わる要因に着目しています。これは、ヒヤリ・ハットを単なる「ミスの報告」として扱うのではなく、事故に至らなかった理由や、現場が危険を回避できた力を確認する考え方です。ここでいうレジリエンス能力とは、危険な状況に気づき、作業を止める、周囲に知らせる、手順を変えるなど、事故に至る前に現場が立て直す力と考えると分かりやすいです。

    中小建設会社で特に注意したいのは、ヒヤリ・ハットが「書かされるもの」になってしまうことです。件数だけを求めると、内容が薄くなります。逆に、報告した人が責められると、次から報告されなくなります。若手にとっては、ヒヤリ・ハットの運用そのものが「この会社は話を聞いてくれる会社か」を判断する材料になります。

    実務上は、報告内容を次の3点で整理すると運用しやすくなります。

    ・どの作業で危ないと感じたか

    ・なぜ事故にならずに済んだか

    ・次回から誰が何を変えるか

    この3点に絞ると、報告は反省文ではなく改善情報になります。若手が出した気づきに対して、職長や経営者が「それは助かる」「次の現場で直そう」と返せるかどうかが、安全文化の分かれ目です。

  • 安心して働ける現場への備え

    安全活動を若手定着につなげるには、「事故を起こさない」だけでなく「安心して働ける」と感じられる状態を目標に置くことが必要です。第14次労働災害防止計画でも、中小事業者を含め、事業場の規模、雇用形態、年齢等によらず、どのような働き方でも労働者の安全と健康が確保されることが前提とされています。

    建設業では、墜落・転落、転倒、腰痛、熱中症、重機接触、工具使用中のけがなど、現場ごとに労災リスクが異なります。安全活動の見直しとあわせて、労災事故に備える任意労災や使用者賠償責任補償の範囲を確認しておくべきです。

    また、若手が相談しにくい職場風土や指導方法が、ハラスメント・雇用トラブルに発展する場合もあるため、必要に応じて雇用慣行賠償責任補償の有無も確認しておくと安心です。ただし、雇用慣行賠償責任補償は労災事故そのものに備える補償ではなく、雇用管理上の賠償リスクに関する補償として、契約内容や特約を分けて確認する必要があります。

    さらに、安全教育、再発防止策、工期遅延に伴う追加費用、売上減少、行政対応費用、採用活動への影響、ブランド毀損対応費用などは、任意労災や使用者賠償責任補償で当然に対象となるものではありません。補償対象は契約内容、特約、支払限度額、免責金額、事故状況により異なるため、証券単位で確認が必要です。

    安全活動は、労災事故が起きた後の補償だけで完結する話ではありません。事故を減らす仕組み、報告しやすい現場、若手が続けたいと思える職場環境を一体で整えることが、建設会社の経営リスク対策になります。

    執筆者の意見

    この安全活動の見直しは、全国安全週間の行事対応だけでなく、若手が現場に残る理由を会社が整えることを意味します。

    実務上は、KY活動やヒヤリ・ハット報告を「注意不足の指摘」で終わらせず、次の作業手順、声かけ、教育内容に反映できるかが問われます。

    この補償確認は、事故後の保険金の有無だけでなく、会社がどこまで自社負担を想定しているかを把握する作業でもあります。

    弊社は、安全活動を人材定着と経営リスク管理の両面から点検することが、中小建設会社にとって現実的な備えになると考えます。


    前田朗伸(まえだ あきのぶ)

    株式会社イカリエージェンシー(1956年創業/AIG損保 AMA認定代理店)

    損害保険トータルプランナー/AIG Executive Risk Manager(ERM)※AIG損保リスクマネジメント制度 最上位認定

    建設業の労災・賠償・工事保険を専門に、実務15年以上。契約実績330社以上。

    あわせて確認しておきたい記事

    「中小建設業のOJT設計」
    https://www.e-kojihoken.com/basic/column/post-43/

    「若手定着に効くキャリアの見える化」
    https://www.e-kojihoken.com/basic/column/post-36/

    「若手定着を崩す入社初期3か月の受入れ不全」
    https://www.e-kojihoken.com/basic/column/post-33/

    「建設業の墜落防止は段取りで決まる」
    https://www.e-kojihoken.com/basic/column/post-28/

  • よくある質問(FAQ)

    Q1. 全国安全週間では何をすればよいですか。

    A1. 令和8年度は7月1日から7日までが全国安全週間、6月1日から30日までが準備期間です。安全大会、安全パトロール、標語の掲示、講演会、緊急時訓練などが例示されていますが、建設会社ではこれに加えて、KY活動、ヒヤリ・ハット共有、若手への声かけ、作業前確認の運用を見直すと実務に結びつきやすくなります。

    Q2. 若手定着と安全活動は本当に関係しますか。

    A2. 実務上、関係が大きいと考えられます。若手が質問できない、報告すると責められる、危険を感じても止められない現場では、安心して働き続けることが難しくなります。安全活動を「叱る仕組み」ではなく「危険を共有する仕組み」に変えることが、定着面でも重要です。

    Q3. 労災事故に備える保険を確認すれば十分ですか。

    A3. 十分とはいえません。任意労災や使用者賠償責任補償は重要な備えですが、補償対象は契約内容、特約、支払限度額、免責金額、事故状況により異なります。また、工期遅延に伴う追加費用、売上減少、行政対応費用、採用活動への影響などは当然に対象となるものではないため、安全活動そのものを見直す必要があります。

    参考

    厚生労働省『令和8年度全国安全週間実施要綱』(2026年7月閲覧)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001680341.pdf

    厚生労働省『第14次労働災害防止計画』(2026年7月閲覧)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001116307.pdf

    建設業労働災害防止協会『建災防方式「新ヒヤリハット報告」のすすめ』(2026年7月閲覧)
    https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/leaflet/files/pamphlet_shin_hiyarihatto_2205.pdf

    最終確認日

    2026年07月02日

    ※本コラムに掲載している図解は、一般的な仕組みや考え方をわかりやすく説明することを目的としたイメージ図です。具体的な補償範囲、支払可否、条件等は各契約内容および事故状況等により異なります。

お見積り・資料請求はこちら

ご相談はこちら

0120-156-136

営業時間 平日9時~18時(土・日・祝除く)

ページトップ

取扱保険会社
AIG損保
三井住友海上
セコム損保
メットライフ生命
エヌエヌ生命
大同生命
地域に密着した”顔”の見えるご提案
東京・横浜・川崎・千葉・埼玉対応
0120-156-136
営業時間 平日9時~18時(土・日・祝除く)

このホームページの情報は、当該商品のパンフレットの付属資料としてご覧いただくものです。
ご検討にあたっては、必ず当該代理店より説明を受け当該商品のパンフレットをあわせてご覧ください。
弊社の損害保険募集人は、保険契約の締結の代理権を有しています。
生命保険募集人はお客様と生命保険会社の保険契約締結の媒介を行う者で、
保険契約締結の代理権はありません。
また、ご契約に際しては、事前に、重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)を必ずご覧ください。
承認番号:26G021
承認日 :2026年6月9日

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を禁じます。

CopyrightAll Rights Reserved.