
30秒でわかる要点まとめ
・ポイント
高年齢労働者の労働災害対策は、経営として取り組むべきテーマになりました。
・お読みいただきたい方
60歳以上の作業員を雇用している建設会社の経営者・役員
・リスクへの備え
①自社に60歳以上が何人いるかを把握する
②転倒・墜落など年齢と関係しやすい事故を洗い出す
③作業内容や勤務時間の見直しを経営方針として明文化する
・この記事でわかること
経営者が今すぐ決めるべき3つの社内ルール
なぜ今「高年齢労働者対策」なのか
休業4日以上の死傷者数は近年増加傾向にあり、その背景の一つが高年齢労働者の増加です。特に60歳以上は、他の世代よりも労働災害の発生率が高く、いったん事故が起きると休業期間が長くなる傾向があります。
建設業では熟練技能者の高齢化が進む一方で、加齢に伴う身体機能の低下(視力・筋力・バランス感覚など)が、転倒や墜落などのリスクを高めます。
高齢化は避けられない流れであり、対策を後回しにすると事故と人手不足が同時に進行します。
厚生労働省は「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を示し、事業者に対応を求めています。
(出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00007.html)
改正内容のポイントをやさしく整理
今回のポイントは、高年齢労働者の特性に配慮した措置を講ずることが事業者の努力義務とされた点です。
努力義務とは、「やらなくてもよい」という意味ではありません。
事故発生時に「どのような配慮をしていたか」が問われる時代に入っています。
ガイドラインでは、次の5つの視点が示されています。
・経営トップが方針を示し、安全衛生管理体制を整える
・高年齢労働者の災害リスクを洗い出す(リスクアセスメント)
・職場環境を改善する(段差解消、手すり設置など)
・健康状態や体力の状況を把握する
・高年齢労働者や管理者への教育を行う
建設現場であれば、「脚立作業は単独で行わない」「重量物は複数人で運搬する」「夜間作業の回数を調整する」といった具体策が考えられます。
経営者が決めるべき3つの社内ルール
経営課題として整理するなら、まず次の3点を明確にします。
第一に、対象者の把握です。
60歳以上の従業員数、配置現場、従事業務を一覧化します。
第二に、事故型の特定です。
過去の転倒・墜落・はさまれ事故を振り返り、年齢との関連を検討します。
第三に、方針の文書化です。
「高年齢労働者の安全確保を経営方針とする」と明文化することが出発点です。
文書化されていない方針は、社内では“存在しない”のと同じ扱いになります。
あわせて、任意労災や第三者賠償責任保険についても、被保険者の範囲や支払限度額が現在の人員構成に合っているか確認しておくことが、経営リスク管理の一部になります。
よくある質問(FAQ)
形式は努力義務でも、実務上は対応が前提と考えるのが安全です。行政はガイドラインを参考に指導を行うため、未対応は説明が難しくなります。
規模に関わらず、高年齢労働者を使用していれば対象です。少人数ほど、1件の事故が経営に与える影響は大きくなります。
60歳以上の人数と業務内容を整理し、転倒・墜落リスクを確認することから始めます。大規模投資よりも、配置や作業方法の見直しが第一歩になります。
※本コラムに掲載している図解は、一般的な仕組みや考え方をわかりやすく説明することを目的としたイメージ図です。具体的な補償範囲、支払可否、条件等は各契約内容および事故状況等により異なります。
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